犬のごはんは、健康の土台を作る最も重要なケアのひとつです。近年、無添加ドッグフードの選び方を正しく知ることが、愛犬の長期的な健康維持につながると多くの研究が示しています。しかし「無添加」「ヒューマングレード」「プレミアムフード」といった言葉が溢れるなか、何を基準に選べばよいか迷う飼い主も多いのではないでしょうか。この記事では、獣医師監修のもと、科学的根拠に基づいた無添加ドッグフードの選び方をわかりやすく解説します。
無添加ドッグフードとは?一般フードとの違い
市販のドッグフードには、保存期間を延ばすための合成酸化防止剤(BHA・BHT・エトキシキン)、見た目を整える人工着色料、嗜好性を高める人工香料などが含まれることがあります。こうした化学合成物を一切使用しないフードが「無添加ドッグフード」です。
「ヒューマングレード」とは、人間が食べられる品質基準で製造されたドッグフードのことを指します。原材料から製造プロセスまで食品と同等の基準が求められるため、原材料のトレーサビリティ(産地・品種・製造ロットの追跡可能性)が明確になっています。
フィードグレードとヒューマングレードの主な違い
| 項目 | フィードグレード | ヒューマングレード |
|---|---|---|
| 原材料基準 | 飼料用(食品未満可) | 人間食品と同等 |
| 製造環境 | 飼料製造基準 | 食品製造基準(HACCP等) |
| 添加物 | 合成物使用可 | 天然原料のみ |
| 原産地透明性 | 非開示のことも多い | 産地・品種を明示 |
国内では「ヒューマングレード」に関する法的定義はまだ整備されていませんが、米国ではUSDA(米国農務省)認定施設で製造された製品のみをヒューマングレードと称することができます。購入の際は成分表示だけでなく、製造施設・品質認証の有無も確認することをおすすめします。
科学的に見た食品添加物と犬の健康への影響
合成酸化防止剤として広く使われるBHA(ブチルヒドロキシアニソール)とBHT(ブチルヒドロキシトルエン)は、油脂の酸化を防いでドッグフードの賞味期限を延ばす目的で添加されます。これらは少量であれば急性毒性は低いとされていますが、長期的な摂取による影響については引き続き研究が行われています。
Gross KL ら(1994)は、押し出し成形ドッグフードにおける3種類の保存システムの安定性を比較し、保存料の種類が食品品質の維持に有意な影響を与えることを報告しています。この研究は、天然酸化防止剤(ビタミンE・ローズマリー抽出物など)を使用した無添加フードの有効性を支持するエビデンスのひとつとなっています。
一方、人工着色料は犬が色覚をほとんど活用しないことを踏まえると、飼い主の視覚的な好みのために添加されているといえます。無添加フードではこうした不要な添加物は含まれていません。
高品質原材料が消化吸収率と腸内環境に与える影響
ドッグフードの原材料品質は、消化吸収率や腸内フローラに直接影響することが近年の研究で明らかになっています。
Geary EL ら(2024)は、高品質な原材料を含むフードが健康な成犬の消化率・嗜好性・糞便特性・腸内細菌叢および代謝物に与える影響を詳細に分析しました。良質なタンパク源を使用したフードは、消化率の向上と腸内微生物叢の多様性維持に寄与することが示されています。
Jobe MT, Downs KM(2025)によるシステマティックレビューおよびメタ分析では、フレッシュペットフードの添加物・原材料品質・加工の影響に関する科学的エビデンスが網羅的に評価されました。高品質原材料・最小限の加工・無添加を組み合わせたフードが犬の健康に有益である可能性を示す一方、個体差や犬種によって効果が異なることも示唆されています。
またScarpim LB ら(2026)は、ライフステージ別のタンパク質要求量と品質評価の方法論を包括的にレビューし、犬の年齢・活動量・健康状態に応じたタンパク質の量と質の選択が健康維持に重要であることを指摘しています。
無添加ドッグフードの選び方|5つの科学的チェックポイント
無添加ドッグフードを選ぶ際は、以下の5つのポイントを科学的根拠に基づいて確認することが重要です。
チェック① 主原料(肉・魚が最初に来るか)
原材料表示の先頭に「チキン」「ラム」「サーモン」などの具体的な肉・魚が明記されているものを選びましょう。「ミートミール」「副産物」「〇〇エキス」など不明瞭な原料が先頭に来ている製品は原材料品質が不透明なことがあります。
チェック② タンパク質含有量(ライフステージ別)
成犬の場合は乾燥重量で18〜25%以上を目安にします。子犬・高活動犬・シニア犬では獣医師の指示のもとで調整することが推奨されます。タンパク質が過剰になると腎機能が低下している犬には負担となる場合があるため、定期健診の結果と合わせて選択しましょう。
チェック③ 無添加の範囲(何が「無添加」か確認する)
「無添加」の表示はメーカーによって範囲が異なります。合成酸化防止剤・人工着色料・人工香料・合成保存料がすべて不使用かどうか、成分表示を一項目ずつ確認することが重要です。「特定成分のみ無添加」の表示の場合もあるため注意が必要です。
チェック④ 製造基準(ヒューマングレードか否か)
製造環境がHACCP等の食品製造基準に準拠しているかどうかを確認しましょう。「ヒューマングレード」と明示しているブランドでも、第三者認証(USDA・NSF等)があるものはより信頼性が高いといえます。
チェック⑤ 1日あたりのコストで比較する
プレミアム無添加フードは購入価格が高く見えますが、1日の給与量が少なくて済むことが多く、実質コストは一般フードと大差ない場合もあります。パッケージの給与量から「1日あたりの価格」を計算して比較するのが正確な方法です。
獣医師が選ぶ無添加ドッグフード
THE HUMAN GRADE(ヒューマングレード)
人間食品と同等の品質基準で製造された国産ドッグフードです。素材の94.9%がヒューマングレードで、野菜・海藻・鶏はすべて国産。主原料には九州銘柄鶏「ありたどり」の100%生肉を使用し、ISO22005・有機HACCP・健康食品GMP取得の食品工場で製造されています。合成添加物7種不使用・ノンオイルコーティング設計で、乳酸菌(ヨーグルト1000杯分相当)を配合。小麦・とうもろこし・大豆不使用の設計で、アレルギーが気になる犬にも配慮されています。
2026年1月 Vet’s Eye調査(本製品を使用した獣医師116名へのアンケート結果)では、98.3%の獣医師が「人用食品(ヒューマングレード)と同等レベルの原材料を使用している」と評価し、99.1%が「不要な添加物を使用せず、オイルコーティングを行っていない」点を評価。94.8%が「相談時に紹介したい」と回答しています。
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JYULL FOOD(ジュールフード)
放牧育ちのラム肉をメイン原材料にした無添加プレミアムドッグフードです。高タンパク・低脂質設計で、アレルギーが出やすいとされる鶏肉ではなくラム肉を主原料にしているため、食物アレルギーが気になる犬にも適しています。無添加ドッグフードの選び方においてアレルギー対策と栄養バランスを両立させたい場合におすすめです。定期便なら送料無料です。
国産 無添加おやつ|発芽玄米シリアル(iliosmile)
フードと組み合わせて使いたい国産無添加の犬用おやつです。発芽玄米を使用したシリアル素材で食物繊維が豊富。無添加ドッグフードの選び方と同様に、おやつも添加物不使用を徹底することで日々の食事全体の安心感が高まります。
フードを切り替えるときの注意点
新しい無添加ドッグフードへの切り替えは、消化器への負担を最小限にするために段階的に行うことが重要です。急な切り替えは腸内フローラを乱し、下痢・軟便・嘔吐の原因になることがあります。
切り替えの基本は「10日間移行法」:1〜3日目は新フード20%、4〜6日目は40%、7〜9日目は60%、10日目以降に100%切り替えるのが科学的に推奨されています。
切り替え期間中は以下の点を毎日チェックしましょう。
- 便の硬さ・形状(正常:適度な硬さでまとまる)
- 食欲の変化(極端な食欲低下は要注意)
- 皮膚・耳・目の赤みやかゆみ(食物アレルギーの可能性)
- 嘔吐・腹部膨満感(胃腸への負担のサイン)
症状が続く場合はフード移行を中断し、かかりつけの獣医師に相談してください。アレルギー体質の犬では新フードへの反応が数週間後に現れることもあるため、移行後も1〜2ヶ月は経過を観察することが推奨されます。
まとめ
無添加ドッグフードの選び方のポイントをまとめます。
- 原材料の先頭に具体的な肉・魚が明記されているものを選ぶ
- 合成酸化防止剤・人工着色料・人工香料がすべて不使用か成分表示で確認する
- ヒューマングレード表示・製造基準の透明性を確認する
- 1日あたりのコストで実質価格を比較する
- 切り替えは10日間かけて段階的に行い、体調変化を観察する
無添加ドッグフードは愛犬の食事への安心感を高め、長期的な健康維持に貢献します。本記事で紹介したチェックポイントを参考に、愛犬のライフステージや健康状態に合ったフードを選んでください。
犬の体重管理と食事の関係については【獣医師監修】犬の肥満と糖尿病リスク|体重管理の科学とフードの選び方でも解説しています。また、食物アレルギーが気になる場合は【獣医師監修】犬の食物アレルギーと除去食の科学|原因食材とフードの選び方もあわせてご参照ください。
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参考文献
- Gross KL et al. (1994). Effect of three different preservative systems on the stability of extruded dog food subjected to ambient and high temperature storage. The Journal of Nutrition, 124(12 Suppl), 2638S–2642S.
- Geary EL et al. (2024). Effects of chicken slurry inclusion on apparent total tract macronutrient digestibility, palatability, and fecal characteristics, microbiota, and metabolites of healthy adult dogs. Journal of Animal Science, 102.
- Jobe MT, Downs KM. (2025). Systematic Review and Meta-Analysis of Quality Claims Associated with Fresh Pet Food: Evaluating Scientific Evidence for Additives, Ingredient Quality, and Effects of Processing in Pet Nutrition. Animals (Basel), 16(1).
- Scarpim LB et al. (2026). Challenges and Methodologies to Assess Protein Requirement and Quality Across Different Life Stages in Dogs: A Review. Animals (Basel), 16(2).

